2020年2月、私はある本を手放しました。
それがこの本です。
この本を買ったのは3年前の秋。
私は当時職場の環境や人間関係に適応できずうつ状態になり、夫に付き添われて診察を受けたメンタルヘルス科で医師から発達障害(ASD:自閉症スペクトラム障害)の可能性が高いと言われ、その病院の帰りに寄った本屋で買った本です。
それまで断片的にしか知らなかった発達障害でしたが、この本を読めば読むほど、自分に思い当たる事が多く、それまで感じていた言葉にしにくい「生きにくさ」の答えが見つかったようでとても救われた気持ちになりました。
結果的にその後に受けた心理検査で明確な数値は出なかったのですが、医師の診断は変わらずうつ病ではなく生まれ持った性質によるもの。その為に抗うつ剤は処方されず、心理療法・認知療法での治療がそこから始まりました。
発達障害でも知能指数が低くないと、生きにくさやストレスを感じながらも成長過程で周囲の人たちに合わせて言動を変える、いわゆる空気を読むということを学んでいき、自分が発達障害と知らずに大人になり、検査でも数値が出ないという例はよくあるそうです。いわゆる「グレーゾーン」というやつです。
グレーゾーンであっても本に書いてある事に強く共感する事には変わりなく、それからこの本は私の心の支えであり、自分の気持ちを保ちながら社会生活を送れるかを知るための教科書のような存在になりました。
それほど自分にとって意味のある本をどうして手放すことが出来たのか?
それは、私がありのままの自分自身の事を受け入れられるようになってきたからです。
グレーゾーンの診断後、通院を経て職場復帰をして、それまでと同じように友人に会ったり外出したりする生活が出来るようになりました。私にとってとても大きな出来事である、妊娠・出産も経験しました。それでも、やはり私は自分を好きになれなかったし、自分の言動に自信が持てませんでした。
壁にぶつかり悩む度に、この本を開いて読んで解決方法を探り心を落ち着かせていました。グレーゾーンである事にも悩み、専門機関の診療を真剣に考えていた時期もあります。
それでも、もうこの本は私にとって必要ないから手放そう、と思えるようになったきっかけは、昨年通ったコーチングスクールでした。
コーチングは、クライアント(コーチングをする相手)が目標に向かって行動できるように導くためのコミュニケーションですが、クライアントの目標や価値観を受け入れるためにはまず「自分を受け入れる」=「自己受容」が必要になります。
私が通ったスクールでも、色々なワークを通して過去・現在・未来と色々な角度から自分を見つめなおして自分を受け入れる事をしていきました。
その結果、私自身が今ある自分をそのまま受け入れようと思えるようになってきたのです。
そして、自分のダメな所や苦手な事を「私はこれもあれも出来ない」とマイナスに考えるのではなく、今の自分で何が出来るか?どんな事でより成長していけるか?とプラスに考えられるようになり、その上で私は何がしたいか?と考えられるようになりました。
今の自分を突き詰めていくより、未来に向かって自分を受け入れられるようになりました。
特に、もっと知りたいと思っていた自分の発達障害についてもこれ以上調べなくてもいいかな、と思えたのは自分でも驚くほどの変化でした。
発達障害かも、というのは私の特性の一つだと思っています。
でも、今はそれを深く追求していくより、私自身が持っている特性を活かして私がやりたい事をやろう、なりたい自分になっていこう、と思えるようになりました。
その気持ちの変化の表れの一つが、心の支えでもあった本を手放す事でした。
手放したら、また一歩前に進んだようで気持ちがすっきりしました。
断捨離や処分というよりは卒業といった方が当てはまるかなと思います。
処分の方法も、メルカリで売ったのも良かったです。古本屋でまとめ売りするよりも次に必要な人に届けられた気がして、私の心の支えだった本が次の誰かの役に立っていたらいいな、と思っています。
このブログの前回の更新から約2年。
その間に色んな環境の変化がありました。出産・引っ越し・初めての育児・また引っ越し、そしてまた妊娠…
そしてコーチングを学ぶ機会を得て、沢山の意識の変化がありました。
第二子の妊娠も37週を迎えて、まさに出産を目の前に控えながら、コロナ禍という社会的な環境も影響して、日々色んな事を考えています。
そしてそのうちに、この数ヶ月間に私自身が変化した事や、今考えている事をまたいつか読み返せるように書き留めておきたいと思うようになりました。
そして今の私が残す言葉は、誰か、もしかしたら数年後の自分にとって何かのプラスになるかもしれない。
そう思ってとても久しぶりにブログを書きました。
いつまで続くかわからないけど、少しずつ書いてみようと思います。
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